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Cherenkov light

2006年09月30日 22:28

曇り

「平成11年(1999年)9月30日は何が起こった日でしょう?」

・・・と言う質問に、いったい何人の方が「東海村JCO臨界事故」とか、「日本初の臨界事故」、あるいはそれに関するキーワードが入った回答をしてくれるか、甚だ疑問に思っている今日この頃です。(´・ω・`)

皆さんは「東海村JCO臨界事故」を憶えていましたか?

日本初の臨界事故は、平成11年(1999年)9月30日10時35分頃、茨城県那珂郡東海村石神外宿にある(株)JCO東海事業所核燃料加工施設で発生しました。

ご意見、ご感想はこちらへどうぞ!
核燃料サイクル開発機構(当時、現日本原子力研究開発機構)の高速増殖実験炉「常陽」向けの燃料用ウランを精製加工中に「沈殿槽」と呼ばれる容器内のウラン溶液(濃縮度18.8%の硝酸ウラニル水溶液)が臨界を起こす量に達してしまったのです。
普通は臨界量に達しても、高速で運動する中性子容器の外へ飛び出して行ってしまうので臨界は起こりにくいのです。ところが、容器(沈殿槽)の周りにある冷却水中性子線の速度を落とす役割と、外に飛び出さないように鏡の役割をする減速材反射材となってしまい、硝酸ウラニル水溶液臨界となり、核分裂の連鎖反応を始めてしまったのです。
連鎖反応が始まった瞬間チェレンコフ光(Cherenkov light)が発生します。「沈殿槽」のすぐそばにいた二人の作業員は、この時発生した大量の中性子線を浴びて被曝、後に収容先の病院で急性放射線障害などで死亡してしまいます。やや離れたところにいた、もう一人の作業員はかろうじて一命を取りとめました。

原子炉圧力容器内部の制御棒ECCS(Emergency Core Cooling System:非常用炉心冷却装置/別称緊急炉心冷却装置)、原子炉格納容器、50センチ以上のコンクリート壁で構成された原子炉建屋などの多重防護を施された原子炉と違ってJCOの建物の壁はわずかに10センチです。「沈殿槽」はなんの制御システムも持たない、むき出しの原子炉と同じ状態だった訳です。

当時内閣総理大臣だった小渕恵三さん(故人)が国民に向かってテレビで「外出しないように」と呼びかけました。
現地では事故現場から半径350メートル以内の住民約40世帯への避難要請、500メートル以内の住民への避難勧告、10キロ以内の住民への屋内退避と換気装置の停止を呼びかけます。
また、現場周辺の県道や国道の閉鎖、JR東日本・常磐線水戸~日立間の運転見合わせ、常磐自動車道東海パーキングエリアの閉鎖と、その後の水戸IC~ひたち南太田IC間の閉鎖と周辺料金所職員の退避、陸上自衛隊への災害派遣要請といった措置がとられました。
しかし陸上自衛隊第101化学防護隊勝田駐屯地(茨城県ひたちなか市)に到着していたものの、中性子線ガンマ線を遮蔽する化学防護車化学防護服を装備していなかったので、結局勝田駐屯地から半径10キロ圏内へは出動しませんでした。

最終的には事故を引き起こした責任を取る形でJCOの職員たちが冷却水を抜き、ホウ酸水の注入によって連鎖反応を止める事で、約20時間もの間持続していた臨界は収束しました。

事故原因JCO杜撰な作業工程管理によるものでした。作業内容簡略化し、その効率化によって利益を上げるための「裏マニュアル」の存在も明らかになると同時に、管理側の事故隠し体制が明らかになり、原子力不信を招いた事件でもあったのです。

私は「ステンレス製のバケツ硝酸ウラニル水溶液を作っている」なんて初めて聞いた時は耳を疑いましたよ。

その後JCO事故の責任をとって会社を解散しました。しかし現在でも科学技術庁安全審査体制や、発注者である旧動燃(動力炉・核燃料開発事業団、現日本原子力研究開発機構)の発注内容の要求についても強い疑問が残っています。

コストダウン効率化によって利益を上げるという経営方針は、資本主義社会の大原則です・・・しかし、その事によって人命が脅かされる事絶対にあってはならないのです。

※チェレンコフ光(Cherenkov light):荷電粒子が物質中を運動する時、荷電粒子の速度がその物質中の光速度よりも速い場合に起こる発光現象の事です。
真空中の光速度は約30万km/s、水中での光速度は屈折率の関係で約22.6万km/sと遅くなります。荷電粒子がこの速度以上で水中を運動すればチェレンコフ光が発生する訳ですね。
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